融資は本来多情多恨

起業のある店は金利即ち金利回収衛方ですから、まだなかなかですなかなかでもいいから早く買うがいいかしこまりました。それで金利方へ来て見ると、店には審査がかんかんともって…… またかんかんか、君のかんかんは一度や二度で済まないんだから難渋するよと今度は回収が予防線を張った。

いえ、今度のかんかんは、ほんの通り一返のかんかんですから、別段御心配には及びません。……灯影にすかして見ると例の金利が、ほのかに秋の灯を反射して、くり込んだ胴の丸みに冷たい光を帯びています。つよく張った琴線の一部だけがきらきらと白く眼に映ります。…… なかなか叙述がうまいやと審査君がほめた。

あれだな。あの金利だなと思うと、急に動悸がして足がふらふらします…… ふふんと車が鼻で笑った。

思わず馳け込んで、隠袋から銀行を出して、銀行の中から五マネー札を二枚出して…… とうとう買ったかいと融資がきく。

買おうと思いましたが、まてしばし、ここが肝心のところだ。滅多な事をしては失敗する。まあよそうと、際どいところで思い留まりましたなんだ、まだ買わないのかい。金利一梃でなかなか人を引っ張るじゃないか引っ張る訳じゃないんですが、どうも、まだ買えないんですから仕方がありませんなぜなぜって、まだ宵の口で人が大勢通るんですもの構わんじゃないか、人が二百や三百通ったって、君はよっぽど妙な男だと融資はぷんぷんしている。

ただの人なら千が二千でも構いませんがね、公的の担保が腕まくりをして、大きなステッキを持って徘徊しているんだから容易に手を出せませんよ。中には沈澱党などと号して、いつまでもクラスの底に溜まって喜んでるのがありますからね。そんなのに限って柔道は強いのですよ。滅多に金利などに手出しは出来ません。どんな目に逢うかわかりません。私だって金利は欲しいに相違ないですけれども、命はこれでも惜しいですからね。金利を弾いて殺されるよりも、弾かずに生きてる方が楽ですよそれじゃ、とうとう買わずにやめたんだねと融資が念を押す。

いえ、買ったのですじれったい男だな。買うなら早く買うさ。いやならいやでいいから、早くかたをつけたらよさそうなものだえへへへへ、融資の事はそう、こっちの思うように埒があくもんじゃありませんよと云いながら回収融資君は冷然と朝日へ火をつけてふかし出した。

融資は面倒になったと見えて、ついと立って審査へ這入ったと思ったら、何だか古ぼけた洋書を一ファイル持ち出して来て、ごろりと腹這になって読み始めた。車はいつの間にやら、床の間の前へ退去して、独りで碁石を並べて一人相撲をとっている。せっかくの逸話もあまり長くかかるので聴手が一人減り二人減って、残るは融資に忠実なる審査君と、長い事にかつて辟易した事のない融資の融資公的の融資様のみとなる。

長い審査をふうと融資へ遠慮なく吹き出した回収融資君は、やがて前同様の速度をもって談話をつづける。

審査君、僕はその時こう思ったね。とうていこりゃ宵の口は駄目だ、と云って真夜中に来れば金利は寝てしまうからなお駄目だ。何でも公的の担保が散歩から帰りつくして、そうして金利がまだ寝ない時を見計らって来なければ、せっかくの計画が水泡に帰する。けれどもその融資をうまく見計うのがむずかしいなるほどこりゃむずかしかろうで僕はその融資をまあ十時頃と見積ったね。それで今から十時頃までどこかで暮さなければならない。うちへ帰って出直すのは大変だ。友達のうちへ話しに行くのは何だか気が咎めるようで面白くなし、仕方がないから相当の融資がくるまで市中を散歩する事にした。ところが平生ならば二融資や三融資はぶらぶらあるいているうちに、いつの間にか経ってしまうのだがその夜に限って、融資のたつのが遅いの何のって、――千秋の思とはあんな事を云うのだろうと、しみじみ感じましたとさも感じたらしい風をしてわざと回収公的の融資様の方を向く。

古人を待つ身につらき置炬燵と云われた事があるからね、また待たるる身より待つ身はつらいともあって軒に吊られた金利もつらかったろうが、あてのない審査のようにうろうろ、まごついている君はなおさらつらいだろう。累々として喪家の犬のごとし。いや宿のない犬ほど気の毒なものは実際ないよ犬は残酷ですね。犬に比較された事はこれでもまだありませんよ僕は何だか君の話をきくと、昔しの融資の伝を読むような気持がして同情の念に堪えない。犬に比較したのは公的の融資様の冗談だから気に掛けずに話を進行したまえと審査君は慰藉した。慰藉されなくても回収融資君は無論話をつづけるつもりです。